季節あれこれ
盆提灯(ぼんちょうちん)とは
さて、お盆に提灯を飾る風習は何時頃から始まったのでしょうか。本来、仏教の習わしである「盂蘭盆(ウラバンナ)の会」に由来しており、仏教伝来の頃より少しずつ浸透していったそうです。そして、お盆と名前を変えて年に一度、先祖の霊を迎える行事となり「盆提灯」は道を照らす役割があります。さらに、盆提灯は、ご先祖様への感謝とご冥福を祈りしますが、とりわけ、仏教での火は、人の心を明るく照らし、仏の知恵を象徴するものとして大変重要視され、供養することを表すものとして最高のお供え物とされているそうです。
提灯の始まりは文化十三年(1813年)ごろに、現在の福岡県八女市で生まれた場提灯が始まりとされ、山水、草木、花鳥などを彩色画描写し、涼み提灯として発展していきました。大正時代には、八女(やめ)提灯が盆提灯として確立され、盆道を照らす役目であった灯篭から提灯へと主流が移り変わったのもこの頃からではないかと言われています。
盆提灯には、「迎え火・送り火」という大切な役割があります。迎え火には、ご先祖様の霊が道に迷わないように家の軒先に提灯を下げ、火を灯してお迎えする役割があります。そして、お盆が終わる日の夕方に送り火として軒先の提灯に火を灯します。提灯の数が多いほど、故人が周囲の人々から慕われていたことの表れだったという云われもあります。ゆえに、盆提灯はお盆の入り7月13日(または8月13日)からお盆明けまで飾ります。一方、月初めから飾るところもあるそうですが、一般的には13日の午前中までに飾り夕方にご先祖様の霊を迎えます。
なお、盆提灯はお仏壇をお持ちでなくとも飾りつけしても良いそうで、且つ、四十九日が経つ前にお盆を迎えたとしてもご住職にお経をあげていただき、お盆中に軒先や仏間に新盆用の白提灯を吊るしても構わないそうです。そして、盆提灯は仏壇の両脇に飾るのが一般的のようですが、面積により一つだけ飾る場合もあり、さらには、地域によって近親者が盆提灯を贈る習慣もあるそうです。ちなみに、新盆用の白提灯は送り火で燃やしたり、菩提寺で供養処分していただきます。