お墓の製作加工
このページは、【切り出した石から、どのように手を加えて、皆さんが知っているお墓に出来上がるのか】をご紹介していきます。
私が石の種類を選ぶ際に気を付けていることは、採掘されてからの実績と年数、山から採掘される石の状況、選ぶ石の特徴やトラブル事例、建てた後の経年による変化などを聞きます。【他社で人気がある・価格もお手頃】ということで判断せず、自分が納得の出来る材質の石をお薦めしています。
石の加工の基本
お墓を加工するには通常、長方形または、正方形に石を切って整えていきます。
その形になってから、(本磨き)磨くのが我々業界の基本になります。この状態のほとんどのものは、自動研磨機で磨きますが、大きさによって手動研磨機を使用することもあります。
加工の手順
原石(山から切り出した状態の石)を仕入れる
原石を切削機で使う大きさに切っていく
使う大きさに切った石のかたちを小型の切削機で切って整える
整えた石を磨いていく
磨き終わった石を図面の通りに切削機で加工(切る)する
切った部分を磨き加工が出来るように機材で削る
加工した部分のみを磨く(【5】~【7】を繰り返して図面通りの形に仕上げます)
穴あけを施す
文字彫刻の段取りをしてお客様との打ち合わせ(最終確認)後彫刻
完成
自社加工の場合に、私たちが品質を管理していくうえで、磨きの工程は、順番に決まった回数(石の種類によって違います)を順序良く進めることで、艶(光沢)をきれいに出すことが出来ます。しっかりとした下準備をおろそかにしている諸外国加工に比べると品質に優れているので、建てた後の経過とともに差がでてきます。
なお、光沢を維持していくためには、【お手入れ(メンテナンス)】も重要になり、場所や環境でも変わります。
なぜ、自社でお墓を加工すると金額が高いのか!?
原石にも仕入れる状態や石の種類(産地)などにより金額が異なります。石の産地は、国産と外国産があり、それぞれ石の品質を等級(ランク)で分かれています。国産材の多くは白系統の石になります。
墓石に使用される石材は国産・海外産で随時200種類以上もあります。その石材すべてに石質の違いや石材採石の継続性等の違いがあります。万が一、購入された墓石が一部欠損をしても同じ石質の石材がなければ対処ができなく、砂鉄分を多く含みサビのでやすい石を海沿いや潮風があたるような墓地に建之するとサビが出やすくなります。
環境によって誤差が生じますが、残念ながら全ての石材の特徴を把握できている石材店はございません。それは石材の採石状況が不安定な場合が多く、急に採掘禁止になったり、その山からお墓として使う石に【キズやひび割れが多い】・【玉模様が大きい】・【スジが入ってる】などで質の良いものが採れなくなるということがあります。
新石種と旧石種の入れ替わりが多いことと同一石種に1級品から3級品までの等級が有るために把握しきることが難しいのが現状です。
国産の石が外国産より高いものが多い理由として、外国のように豊富にとれるわけではなく採掘の規制などもあるため希少価値がつくのと、国内の人件費も関係しているようです。外国産はさまざまな色の石が、たくさんの地域で採掘されていて、多くの国から輸入が出来たようですが、国内で加工する企業が少なくなっており、輸入する石の種類に限りがあるため、随時商社に確認が必要です。
弊社の場合、長年使われて実績のある種類の石を選んで使うため、ほとんどのものでトラブルに繋がるような部分(※白や黒の玉・流れ模様は例外以外は使用します)は除いています。
また、石を加工するということは、ずっと同じ状況が続くとは限りません。自然の石だからこそ、特徴や変化を把握することも大切なことです。自社で検証し、見極める経験を積むことで、安定した品質の石をご提供していけます。石の使い方(加工)次第で、出来合いのお墓を諸外国から輸入するより安価に提供できる事もあります。
自社で加工したお墓は、20年後や30年後にリフォーム(磨き直し)のご依頼があった際に、組み立ての施工方法やお墓のかたち【現状の状態】にもよりますが、デザインに手間がかかっているお墓より新品に近いお墓に仕上げることが出来ます。
価格や予算で合わないことも多いですが、ご提供するうえで最も大切なことは、石の品質【安心と安全】を目の届く環境で管理し、従業員との意思疎通をしっかりと行えば、より良い製品をお客様に自信を持ってお勧め出来ます。
お墓のデザインも自由になり、形という点では選択の幅が広がりました。 良い悪いではなく、お客様のニーズも時代とともに変わっていき、現在、全国的に洋風のお墓が主流となっております。
個性的なお墓をお勧めするのも経営していくうえで必要ですが、不測の事態(天災など)の場合に手直し【磨き直しや交換など】がスムーズにできて、私たちが安定して供給できるような、お墓のかたちが理想だと思います。
石にまつわる豆知識
玉模様をわかりやすくご説明いたしますと…人に例えるとホクロの様なものです。玉が割れたり、キズになることは例外を除いてほとんどありません。黒御影石の場合には、見えにくいというだけです。
模様にも流れ模様やより模様と様々な形の模様があります。石は天然のものなので、一つ一つ石の模様や形が違います。その模様を合わせることがとても大変です。大きなブロックの原石から石を加工していけば、模様を合わせられるのですが、切り出した石に傷や玉、模様などが多いと使える部分が限られてしまいます。中間色(緑など)は色合わせが難しいようです。極端に違うもの(色など)でなければ問題なく、我々は一期一会だと思います。
キズや(白と黒)スジ・オビについて…キズはもちろんのこと白スジに関しては、スジ部分に水が染み込むとヒビが入ってしまう事があり、放っておくと広がっていき最終的に割れに繋がる恐れがあります。黒スジやオビの場合には、経過を見る事が必要です。
玉は我々業界側からするとないほうが見栄えが良いのですが、そればかりにこだわっていると使える石を探さなくてはなりません。そうすることで価格が高騰する要因にもなります。ある程度の妥協は必要です。