お墓の豆知識
枕経(まくらぎょう)枕飾りとは
死後すぐに行われ、ご住職が死者の前で初めてお経を唱える儀式です。普段寝ていた布団にご遺体を寝かせて、枕飾りを準備してから、(葬祭業者さんが準備されます。)ご住職がお経をあげます。「あなたは亡くなったんですよ。成仏なさってください」と亡くなられた方に伝えます。
枕経(まくらぎょう)
枕経の原形は宗門改め制度からきていて、江戸時代にキリシタン禁止を徹底させるために信仰する宗教を調査するための制度で、民衆統制や戸籍制度の役割も果していたようです。
近年では病院から自宅に帰らず、葬儀会館や葬儀式場に直接行くケースが増え、枕経も省略されたり、お通夜と同時に行われることもあり、式自体を短縮する形態が増えているようで、来客や打合せ等で故人と接する大切な時間も限られます。
枕経にはご住職が家族・親戚にこれから執り行うご葬儀についての説明や流れ、亡くなられた故人に対しての接し方や向き合い方などのお話をする場でもあり、慣れ親しんだわが家から送り出すことができ、ご家族・ご親戚などによる近親者が、『亡くなられた故人との別れを』告げることもできます。故人も同様に安心して私たちに別れを告げられるのではないでしょうか。
遺体を安置する場合には、遺体の胸の上に魔除けとして刃物を置きすが、これを『守り刀』と呼ぶ由来は、刀によって魔を斬るといった意味や魔物の使いとされていた猫が光り物を嫌がるので刀を置くことが魔除けとされるようです。遺体を安置すると、そこに供え物として【枕飯・枕団子】を供えます。枕団子は米の粉などを丸めて作るもので、地域によって違い、六道から6個としたり、十三仏などから13個としたり、亡くなった日から一個ずつ増やして四十九日までお供えし、49個飾る地域もあり様々です。
枕飯はご飯を御茶碗に山盛りにして箸をさして飾ります。さまよっている魂を一膳盛り(茶碗にご飯を山盛りにして箸をさしたもの)に宿し、箸が目印(例にすると避雷針)の役割を果すと言われ、悪霊を追い払い、迷うことなくあの世におくり届ける方法の一つといわれます。
ご葬儀の最後に一膳盛りをお墓に運び参列者でお参りし、最後にその一膳盛りの茶碗を割って、心置きなくあちらの世界に旅立たせるために、割る瞬間まで故人に対して私たちが行なえることとは…亡くなられた故人に対するこれまでの感謝の想いを伝える儀式の一つで、各家庭の事情や状況もあると思いますが、枕経という風習をもう一度考え直す事も必要ではないでしょうか。
枕飾りの飾り付けの一例をご紹介します
小机(経机)1台、燈明は1本(枕経の後に2本点火)・お花…生花を1本花で樒(しきみ)を使用し、一膳盛…(本来、故人が生前に使っていた茶碗と箸を使います。)・線香・香呂・お水・りん(鐘)・団子・末期の水などです。宗旨宗派、地域によって異なる事がありますので、菩提寺のご住職にお尋ね下さい。