お墓の豆知識
石碑とは
石碑 (せきひ) は、具体的に【歴史の記録】・【土地の紹介】・【権威の誇示】・【慰霊や追悼】様々な目的で、銘文を刻んで建立した石の総称です。他の呼び名では、【いしぶみ】・【碑】とも言います。墓石(お墓)とは異なり、銘文が刻まれていること自体に目的があるものを言うようです。
何かの記念として建てられたものを【記念碑(きねんひ)】、和歌や歌詞を刻んだものを【歌碑(かひ】)、俳句を刻んだものを【句碑(くひ)】と言うようです。石碑として残されるのは、輝かしい事績ばかりではなく、【慰霊碑や災害記念碑】のように、悲劇的な事象が再び起こらないようにと、後世への戒めとして建てられているものもあります。
石碑の特徴
石自体がひとつの彫刻になっている場合は、【石彫】と区別することが多く、岩絵が刻まれているものは、【石碑】とは呼ばないようです。【石碑】は、文字が刻まれていて、一時的でも建立されたもの(建立する意識がみられるもの)を指します。石碑には、風化しにくく、安定したものというイメージを持たせやすい石材に文を刻み、特定の場所に設置するという特性があります。そのため、有史以来、この地に長期にわたる記録を残すという目的の元に世界各地で建立されてきました。形状は、縦長で表面が平坦な石が使われることが多いようですが、自然石をそのまま生かして使われることもあります。
例として挙げますと、インドネシアの古代王国では、【プラサスティ】と呼ばれる記念碑が建てられ、王の詔勅を石に刻むのが古代インドネシアの習慣で、東南アジア史の研究書では、【刻文】と訳されるもののようです。(王朝の起源、伝説、王の業績などの歴史的事件を刻んで王室の権威を高める【プロパガンダ】として用いられることがあったため、石碑を建てた権力者が倒されると、石碑が倒されたり銘文が削られたり破壊されたりすることが多かったようで、新たな権力者は自分の権力の正統性を石碑に刻ませたようです。マヤの諸都市に建てられた石碑がその好例のようです。)
プラサスティは、多様な形態があり、西ジャワのタルマヌガラ王国のように楕円形の自然石が使われる場合もあれば、犠牲として捧げる動物を結びつける杭として使わる【ユパ】と呼ばれるものもあったようです。
中国では石材を一定の形に加工して記念の文章を刻みつけたものを【碑】と言い、先秦時代に石に文章を刻んだものとして、秦国の石鼓文が古くから著名だそうです。特定の形に加工しない自然石を利用したものを【石刻】と呼び、定型化した碑は後漢から始まり、遺例として後漢時代の後半のものが各地に残っているようです。その多くは、墓前に立て被葬者の功績を記したものだそうです。